首が痛い、背中や肩こり、手や腕のしびれ等々の症状が出てきたとき、「頸椎椎間板ヘルニア」を疑いましょう。
悪化すると、歩くのも難しくなったり、排尿障害といった症状が出る場合も見られます。
頸椎椎間板ヘルニアは、加齢による頸椎の変形が原因ですが、そこに運動負荷が加わることで発症する危険はさらに増します。
朝のうちは、首の痛みをあまり感じなかったとしても、昼から夕方になるにつれて、首の痛みが増すという特徴があります。
頸椎椎間板ヘルニア以外に首に痛みが出る病気として考えられるのは、変形性頸椎症です。
首や背中を構成する椎間板や椎骨は、20歳を過ぎると、ゆっくりと老化します。
椎骨と椎骨の間にあり、クッションの役目をしている椎間板は、加齢と共に水分が減るので、弾力性がなくなり、体の重みによって少しずつ潰れていきます。
その潰れた椎間板が椎骨の間からはみ出ると、それをかばうために椎骨の端が伸びてくることから、とげのような骨が作られます。その骨が神経に当たることで、首に痛みが起きます。
このような症状を変形性頸椎症と呼びます。
老化に伴い発症することから、中高年に多い病気だと言われています。老化現象は誰にでも起こるものですので、今までにない痛みや症状を首に感じたら、早めに病院で診察を受けたほうが良いでしょう。
初期の症状は軽いことから、自然に回復するものと思って放置しても、回復することなく、症状は悪化する一方です。
頚椎椎間板ヘルニアの症状
頚椎椎間板ヘルニアは以下のような症状が見られます。
- 首から肩、肩から腕、腕から指へのしびれや痛み
- 咳やくしゃみ、首を後ろに反らすと肩甲骨や手、指に電気がはしったかのような痛みが走る
- 肩や肘、手や指の筋力が低下して思うように動かせない
その他、以下のような症状があれば、頸椎椎間板ヘルニアの可能性が
あると思った方がいいでしょう。
- 肩や首や背中が重い
- 頭痛や耳鳴りがある
- 目がチカチカする
- 上下肢のしびれ感や痛みを感じる
- 灼熱感や冷感を感じる
- 筋力低下
- 足が突っ張って歩きにくい
- 筋肉痛のような違和感を感じる
初期の頃は、首の痛みや肩こりが起こりますが、上肢の神経根症状が発生する方や、胴や手、腕の脊髄症状も現れることがあります。
局所症状しか起こらないうちは、医師の診察を受けても、ただの寝違えといった診断で済まされる事も多いようです。
しかし、痛みが悪化したり、いつまでも治らないようであれば、再度、病院に行って診察を受けた方がいいでしょう。
頸椎椎間板ヘルニアの診断法として、色々な姿勢をとってみて、痛みが強くなる部位があるのかどうかを確認する方法もありますが、医学的な知識や医師としてのトレーニングを受けていない、素人が判断するのは難しいので、素人判断は止めたほうがいいでしょう。
頸椎椎間板ヘルニアは発症する位置の高さによって、手足に出る腫れや痛みの場所、触覚や痛覚などの知覚障害が起こる場所が変わります。
一般的に、ヘルニアが発症した椎間板の高さと連動して、首から肩、腕へと症状が起こる場所が変化します。右手の薬指や小指に知覚障害がでる場合、第7頸椎と第1頸椎の間の頸椎椎間板ヘルニアだと診断されるはずです。
頸椎椎間板ヘルニアをレントゲンだけで診断する事は困難ですが、最近はCTやMRI、脊髄造影などを使うことで、椎間板の状態を詳しく見る
事が出来るため、正確な診断が行えるようになりました。
頸椎椎間板ヘルニアの対策
基本的な対処方法ではありますが「安静」が一番です。
頸椎椎間板ヘルニアは頸椎の病気ですので、安静が最重要です。安静にする事で、人間が持つ自己修復再生能力が機能し、痛めた部分が徐々に修復されるのです。
さらに、安静にすることで、痛みをひき起こす刺激を抑制できますので神経が過敏である状態を鎮めるのにも効果的です。
痛み、運動神経の麻痺、しびれなどの症状が出たら、まずは安静にしてください。
頸椎椎間板ヘルニアの治療方法
さきほどご紹介した安静にも関連しますが、首と上肢の症状に対して徹底的に「保存療法」をすることが効果的だと言われています。
「頸椎に負担をかけない事」が保存療法の基本になります。
頸椎椎間板ヘルニアの中でも、急性でかつ、症状が重い時には、多少の胃腸障害(胃痛や下痢など)や、むくみなどの副作用が発生することを前提として、鎮痛などの効果が強い薬を短期間だけ服用します。
症状があまり重くない場合には、効果は弱くても副作用の少ない薬を処方されることが多いようです。
非ステロイド系炎症剤が処方されることが多いのですが、痛みを起こす部位の炎症を抑えて、鎮静効果を発揮する薬です。
内服薬以外に座薬もあるので、胃腸の弱い人は、胃を通さずに吸収ができる座薬を処方してもらうようにお願いするといいでしょう。
また、筋弛緩剤を使用する場合もあります。
頸椎椎間板ヘルニアは、痛みのために異常に筋肉が緊張し、患部に血行障害が起こります。
痛みを誘発する発痛物質が患部に滞ってしまい、その結果、筋肉の緊張がすすむために、痛みの悪循環を起こしてしまいます。
筋弛緩剤は、この悪循環を取り除くために使用されるのです。
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